オロッス!福岡市中央区でパーソナルトレーナーをしているパクチー大原です。今回はジムで上腕三頭筋を鍛える場合の効果的な筋トレのコツをご紹介したいと思います。単純に筋トレのメニューを紹介するだけでなく、解剖学の知識、そして、他ではしれないコツも紹介しているのでぜひ最後までごください。
目次
上腕三頭筋の解剖学
上腕三頭筋は三頭筋と呼ばれているように長頭・外側頭・内側頭が集まった筋肉です。内側頭はどの種目でも鍛えることができるため、長頭と外側頭にフォーカスして鍛える必要があります。
上腕三頭筋長頭
長頭は肩甲骨から肘(肩甲骨下結節から肘頭)についており、肘を伸ばす作用に加えて、腕を後ろに動かす作用(肩関節の伸展)があります。長頭を鍛える場合はこの二つの作用に対して負荷をかける種目やフォームを選ぶ必要があります。
▼肩関節の伸展
腕を後方に動かすのが肩関節の伸展
上腕三頭筋の中でも長頭にしかない作用
上腕三頭筋外側頭
外側頭は上腕骨の後ろの部分から肘(上腕骨近位の後外面から肘頭)についており、肘を伸ばす作用があります。外側頭は腕の外側に位置している筋肉のため、トレーニングで鍛える場合はなるべく腕の外側に負荷がかかるように肩を内旋させた状態で肘を伸ばす行為に対して負荷をかける必要があります。
詳しくは後の項で説明します。
▼より詳しい上腕三頭筋の解剖学についてはこちら
上腕三頭筋の特徴
上腕三頭筋は羽状筋(うじょうきん)という筋肉の種類に分類されます。この羽状筋はカニの爪にある筋肉のように、体積に対してたくさんの筋繊維が詰まっており大きな力を発揮できることが特徴です。
つまり、上腕三頭筋は構造的に大きな力を発揮する筋肉のため、トレーニングで鍛える場合は5-8回がやっとできるような重量で鍛えてあげたほうが効果的に大きくすることができます。
上腕三頭筋を鍛えるメリット
上腕三頭筋を鍛えるメリットはなんといっても腕が太くなりやすいことです。腕の筋肉といえば上腕二頭筋をイメージする人が多いかもしれませんが、腕の中で体積が大きい筋肉は上腕三頭筋です。
上腕三頭筋は元の体積が大きいため、腕を太くしたい場合は上腕三頭筋を鍛えたほうが良いのです。パッとイメージがつきにくい方は、脚の筋肉の総量を増やす場合と前腕の筋肉の総量を増やす場合とでは前者のほうが簡単なことがなんとなくわかりますよね。これはもともとの筋肉の体積が大きいほうが筋量を増やしやすいということです。
太い腕でTシャツの袖口をパツパツにしたい場合は上腕三頭筋を鍛えるのです!
上腕三頭筋を鍛える上で共通のポイント
上腕三頭筋を鍛える上で共通した5つのポイントを解説します。各種目の説明の時に改めて説明しますが、ほぼすべての種目において通じる内容となっています。
①重い重量を扱える種目をメインで
上腕三頭筋は羽状筋と呼ばれる強い力を発揮する筋肉のため、ナローベンチプレスやディップスのような強い力を発揮する種目はマストになります。トレーニングの最初に強い力を発揮する種目を持ってくるのが理想的です。
②手首は少し背屈させる
手首を少しだけ背屈させる(反らせる)ことで、肘関節が曲がりやすくなります。そのため上腕三頭筋の種目では背屈させやすいサムレスグリップにして、少しだけ手首を反らせた状態のままにしましょう。
③小指・薬指側のてのひらで押す
上腕三頭筋は小指薬指側の手のひらから端を発する尺骨神経の支配下にあります。そのため、上腕三頭筋を鍛える場合は小指と薬指側の手のひらで力を入れるようにしましょう。
④ストレッチの時は目線下、収縮の時は目線上
これは頚反射と呼ばれる頸の動きと体の連動を利用したテクニックです。体を丸めるときはアゴを引いたほうが、伸ばすときはアゴを上げたほうが力を発揮しやすくなります。
上腕三頭筋が収縮する肘を伸ばしたり、肩関節を伸展させる動きは体を伸ばす動きに分類されます。そのため。上腕三頭筋を鍛える場合は肘を伸ばす局面でアゴを10センチほど上げて、肘を曲げる局面ではアゴを10センチほど引きましょう。
⑤構えの時点で負荷が乗っている状態を作る
これは上腕三頭筋というよりすべてのトレーニングで共通している超必須のポイントなのですが、トレーニング動作を始める前の構え(ベンチプレスならバーベルをラックから外して後はバーを下すだけの局面)ですでに狙った部位に負荷が乗っている状態にしていないといけません。
構えた時点で上腕三頭筋に負荷が乗っていないのであれば、肘や肩の位置を少しずらして上腕三頭筋に負荷が乗っている状態にしてから動作を始めるのです。
動作を始めて、狙った部位に効いていない状態から効いている状態にすることは難しいため、構えの時点で効いている(筋肉が伸びている、つぱっている)状態を作ることが重要なのです。
ナローベンチプレス
動かし方
・手幅は肩幅
・手首は少し背屈させて、小指側で押す
・胸は反らさず、逆に少し丸める
・バーを下げるときはアゴを引く
・バーベルを挙げるときはアゴを上げる
種目の特徴
ナロウベンチプレスの特徴は重い重量が扱えること。これは上腕三頭筋が強い力を発揮する羽状筋であることと非常にマッチした種目であるため、このナロウベンチプレスは上腕三頭筋の種目として必ずやっておきたいところです。
回数とセット数
ナロウベンチプレスでは重い重量を扱いたいため、5-8回がやっとできる重量を選択しこれを3-5セット行いましょう。
肘が痛い場合
肘が痛い場合はインクラインベンチを利用して、肘の角度が鋭角にならないようにしてあげると肘が痛くなりにくいです。
+α知識
手幅を狭くして肩を内旋させた状態で行えば行うほど、上腕三頭筋・外側頭に刺激が入りやすくなります。しかし、この種目では手幅を肩幅にして、脇は拳半分あけるくらいで長頭と外側頭を同時につかいつつ、重い重量を扱うことに集中したほうが良いです。
プレスダウン
種目の特徴
プレスダウンの特徴としてはアタッチメント(握る部分)を変えることによって、上腕三頭筋・長頭と短頭の鍛え訳が簡単にできることです。アタッチメントは大きく分けて三つありますので、それぞれの特性を知ることでプレスダウンをより活かすことができます。
動かし方とアタッチメントについて
まずは下の動画をご覧ください。
EZバー
前方に押すようにすると外側頭に効く。
肘を基点として円運動を描くようにすると長頭と外側頭両方に効く。
ストレートバー
前方に肘を前に出す動きがしやすくなるため外側頭に効く。
ロープ
手首を手首と肩を内にひねりながら前方に肘を伸ばすと外側頭に効く。
手首が向かい合う状態のまま肘を基点に円運動を行うと長頭に効く。
手首
手首は少し背屈させた(反らせた)状態で固定する。肘を伸ばすときに手首を曲げて、肘を曲げるときに手首を反らせる人が多いがそれだと上腕三頭筋から前腕へ負荷が抜ける。
肩
肩が上下しないように方は固定する。あくまで肘の曲げ伸ばしだけを行うように。体を少し前傾させると肩が上がりにくくなる。
手
小指と薬指側の手のひらでバーやロープを押すようにする。
頸
肘を伸ばすとき(収縮)はアゴを少し上げて、肘をまげるとき(ストレッチ)はアゴを引いて体を丸める。
回数とセット数
このプレスダウンでは8-12回行える回数で3-5セット行いましょう。
トライセプスエクステンション
動かし方
・手幅はナローベンチプレスのときと同じ肩幅
・バーベルは頭頂部に対しておろす。
・手首は少し反らせ、サムレスグリップで小指側の手のひらで押す
・基本的に動かすのは肘だが、肩の動き(肩関節の屈曲・伸展)も少し加えたほうが肘を痛めにくい
・体を丸めたほうがストレッチさせやすいので脚を上げたままにする
・バーを下げるとき(ストレッチ)はアゴを引いて、バーをあげるとき(収縮)はアゴを上げる
種目の特徴
トライセプスエクステンションの特徴としては、肘を上げた状態(肩関節の屈曲)から肘の曲げ伸ばしを行うため、上腕三頭筋・長頭をしっかりとストレッチさせることができる事です。
外側頭は肘を曲げるだけでストレッチさせることができますが、長頭をストレッチさせるには肘の屈曲に加えて、肩関節を屈曲させる必要があります。この種目はまさに、上腕三頭筋をストレッチさせるのにベストな種目と言えます。
回数とセット数
この種目はストレッチ種目に分類されます。ストレッチ感を得るのに良いレップ数は10-12回なので、この回数がやっと行える重量を選択しましょう。ストレッチ種目で5回しかできない重量でやると筋断裂の危険性が高まるのでおススメしません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?上腕三頭筋はかなり奥が深い種目ですが、とりあえず、でかくしたい場合はナローベンチプレスをやりこむとデカくなるので、ナローベンチプレスは必須でございますますです。
▼上腕二頭筋のトレーニングについてはこちら